線維筋痛症の初期症状、何科に行けばいい?
― 診断まで8年かかった私の体験から
「身体の広い範囲が痛む。痛みの強さは、日によって波がある」
「髪が触れるくらいの軽い刺激でも痛い」
「朝、身体がこわばる。休んでも疲れが抜けない」
「それなのに、検査では異常がないと言われる」
そんな症状が続いていると、「これは単なる疲れや痛みなのだろうか」と不安になることがあると思います。
こんにちは。横浜市都筑区・センター南で、痛みと疲労の専門 漢方相談「kampo香癒堂」を営んでいる、久保田かおりです。
私自身、線維筋痛症と筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)と診断されています。最初に痛みを感じてから、病名がわかるまでには8年かかりました。
線維筋痛症も筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)も原因はまだはっきりわかっておらず、決定的な治療法も確立されていない病気です。私自身も今なお、この2つの病気と付き合っていますが、今では旅行や登山など以前はできなかったことを楽しめるようになりました。そうした中で、2026年3月にはkampo香癒堂を開業することができました。
今回は、私の初期症状と多くの方が悩む「線維筋痛症は何科に行けばいいの?」という疑問についてお話しします。
線維筋痛症の主な症状
線維筋痛症のいちばんの症状は、身体の広い範囲に続く痛みです。そのほかにも、疲れや眠りの問題など、さまざまな症状を伴うことがあります。
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広い範囲の痛み 関節や筋肉、腱など、身体の広い範囲に激しい痛みが3か月以上続きます。痛みの強さは日によって波があり、髪が触れる程度の軽い刺激でも、激しい痛みが起こることがあります。睡眠不足、精神的ストレス、過度の運動、天候にも左右されます。
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朝のこわばり 朝、身体がこわばります
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疲労 疲労を伴うことがあります
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睡眠の問題 眠れない(不眠)ことがあります
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頭がうまく働かない いわゆる「ブレインフォグ」
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そのほかの症状 頭痛、めまい、口や目の渇き、過敏性腸症候群、抑うつ(気分の落ち込み)など
※当てはまる症状があっても、それだけで線維筋痛症とは限りません。気になる症状が続くときは、医療機関でご相談ください。
参考:メディカルノート「線維筋痛症」、MSDマニュアル プロフェッショナル版「線維筋痛症」、青森県「線維筋痛症について」
ここからは、私自身の初期症状についてお話しします。
私の初期症状は「腰の痛み」から始まりました
グランドスタッフとして働いていた26歳の頃、腰の痛みを感じて病院を受診したところ「第5腰椎分離すべり症」と診断されました。
入院やブロック注射などの治療を受けても、痛みはなかなか治まらず、治療が長引くなかで先生からは「分離症で、こんなに痛みが続くのはおかしい」「気持ちの問題なんじゃないか」と言われたこともあります。
こんなに痛いのにわかってもらえない。そう思ううちに、いつしか整形外科の診察そのものが怖くなり、診察の日になると決まってお腹を壊すようになっていました。
次第に痛みは腰だけではなく、首や肩、膝、足首へと広がっていきました。腰はステーキが焼けているような熱い痛み、右肩はえぐられるような痛みです。親切心から肩を揉んでくれようとする人がいても、触られると痛くて思わず身体を避けてしまいます。寝ている間も無意識に痛みを堪えていたのでしょう。私の眉間には今も深い皺が残っています。今では、痛みに耐えてきた「勲章」だと思うことにしています。
そんな私が唯一、安心して身体を預けられたのが担当の理学療法士の先生でした。痛みが出る理由を身体の状態から丁寧に説明してくださるだけでなく、私のつらさをそのまま受け止めてくれる存在でした。つらい整形外科の診察を終えてリハビリに行き、先生の顔を見ると「終わった」とほっとして涙がこぼれたものです。
痛みの後から強い疲労が加わりました
診断がつくまでの8年の間に、痛みに加えて強い疲労も出てくるようになりました。
食事をするだけで疲れてしまう。一口食べては横になる。出かける直前まで、横になっていなければ動けない。髪を乾かすのも立ったままではできない。床にしゃがんで、壁に寄りかかりながら髪を乾かしていました。肌が乾燥して、「化粧水をつけなきゃ」と思ってもその手が動かない。そんな状態で外出などをすると、いつも以上に疲労が重なり、その後の回復に時間がかかり、2週間ほど寝込んでしまうこともありました。それでも会社にいるときや友人と一緒にいるときは、できるだけつらさを出さないようにしていたため、帰宅した瞬間に堪えていた疲れや痛みが一気に押し寄せてくるのです。
自分の身体なのに、思うようにならない。体調が読めないため、先の予定を入れることもできません。友人との約束も断ることが多くなり、私の事情をわかってくれる人としか、付き合いを続けることができなかったのです。
今までできていたことができない。このまま寝たきりになってしまうのではないか、元の身体には戻れないのではないか。そんな不安に押しつぶされそうになり、枕を涙で濡らす日もありました。
診断がついたとき、まず感じたのは「安心」でした
最初の痛みから8年。ようやく、線維筋痛症と筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)という診断にたどり着きました。
「気持ちの問題なんじゃないか」と言われたこともありましたが、この痛みは気持ちの問題ではなかった。ちゃんとした病気だったんだ。診てくれた先生からは「診察もリハビリも久保田さんも、みんなで一つのチームです。一緒に治していきましょう。」と言っていただきました。病名がわかったことに加えて、医師にわかってもらえたことがうれしくて、涙が出たのを覚えています。
原因がわからないまま、つらさだけが続く心細さを私は知っています。だからこそ、今つらい思いをしている方にはできるだけ遠回りをしてほしくありません。
線維筋痛症は何科に行けばいいの?
「線維筋痛症科」という決まった科はありません
- 整形外科
- リウマチ科
- ペインクリニック
- 内科
- 神経内科
- 心療内科
- 精神科など
線維筋痛症はいくつかの科で診療が行われています。私は腰に痛みがあったので、まず整形外科に行きました。
線維筋痛症も筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)も、診断の決め手になる血液検査や画像検査がまだありません。検査をしても異常は見つからず、問診や診察で診断される病気です。「検査で異常がない」と言われても、それだけでこの病気の可能性がなくなるわけではありません。
線維筋痛症の診察では、身体の決まった18か所を指で押して痛みがあるかを確かめる「圧痛点」の診察が行われることがあります。1990年にアメリカリウマチ学会(ACR)が発表した分類基準で、広い範囲の痛みが3か月以上続き、18か所のうち11か所以上に押したときの痛みがあることが目安とされ、現在も広く用いられています。2010年以降は、圧痛点を使わずに、痛む場所の数や症状の重さから判断する基準も作られています。
- 首の前側の下のほう(下部頸椎)
- 胸の上部(第2肋骨と肋軟骨のつなぎ目のすぐ外側)
- ひじの外側(外側上顆の少し先)
- ひざの内側(関節の少し上)
- 後頭部の付け根(後頭下筋の付着部)
- 肩の上(僧帽筋の上縁の中央)
- 肩甲骨の上(棘上筋)
- おしりの上の外側(殿部)
- 太ももの付け根の外側(大転子の後ろ)
※位置はおおよその目安です。ご自分で押して判断せず、気になる症状が続くときは医療機関でご相談ください。
また、どちらの病気も診療できる医療機関や医師が少ないと言われています。線維筋痛症では、学会の診療ネットワークに登録している医療機関が全国で147施設、1つもない県も7県あります(少し古いですが、2012年時点の学会の発表です)。筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)も、専門医が非常に少ないとされています。
受診先を探すときのヒント
- 線維筋痛症かもしれないと感じている方へ:日本線維筋痛症・慢性痛学会の「診療ネットワーク」を調べる 学会の診療ネットワークに参加している医療機関を、都道府県別に探すことができます(診療ネットワーク参加医療機関マップ)。線維筋痛症かどうかは、受診した先の医師が診察して判断します。
- 今の先生に、つらさをそのまま伝える 線維筋痛症は、痛みだけでなく、食欲不振や不眠、気分の落ち込みなど、ほかの症状を伴うこともあります。痛みだけでは判断しにくい部分もあるため、痛みが長く続いていること、治療をしても良くならないこと、そのほか気になる症状があれば、遠慮せずそのまま伝えてみてください。私の場合も、通っていた整形外科の主治医の先生が別の先生を紹介してくださったことで、診断にたどり着くことができました。
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症状をメモにして持っていく
- 痛む場所や時間帯
- 痛み方
- 疲れやすさ
- 眠れているか
診察にはいつもメモを持っていきました。体調が悪いときは、伝えたいことを話しきれなかったり、短い診察時間では大事なことを言い忘れてしまう。そんな私にとって、メモは心強い味方になりました。
※ここでお伝えしたのは、受診先を探すときの一般的なヒントです。病気の診断は、医療機関で受けていただく必要があります。
診断のあとも、ひとりで抱えないでください
たとえ診断されても、この病気は治療方法が確立されているわけではなく、痛みや疲れがすぐに消えるわけではありません。周りに理解されにくく、「この先どうなるんだろう」と不安になることもあると思います。私自身もそうでした。
その後、中医学と出会い、漢方薬や薬膳、日々の養生を取り入れながら自分の身体と向き合うようになりました。そのお話はまた別の記事で綴りたいと思います。※これは私自身の経験であり、効果を保証するものではありません。
痛みや疲れのつらさは、外からは見えにくいものです。同じ病気と今も付き合い続けている私だからこそ、わかることもあります。